「ここが家だ」
前回の続き。
ベン・シャーン展で詩人のアーサー・ビナードさんから聞いた話。
ベン・シャーンが描いた第五福竜丸をテーマにした連作。
その絵が絵本になった。
文章を書いたのはビナードさん。
大変だったそう。
「ベン・シャーンの絵に引き倒される感じで」と表現されていた。
それほどまでにベン・シャーンの絵には確かに力がある。
ビナードさんが第五福竜丸事件について調べ、この絵本に込めたことを講演でお話してくださった。
ビキニ環礁でアメリカの水爆実験を目撃して放射線を浴びた乗組員たち。
ビナードさんいわく、水爆実験という極秘情報を目撃しておいて、アメリカ軍によって証拠隠滅のために爆撃されずに焼津に戻った、なんて「ありえない話」。
どういうことか。
無線長の久保山さんは当時38歳。
戦時中の経験と、広島・長崎の原爆投下についての知識から、即座に「これはピカだ」と分かったのだそうだ。
だからアメリカ軍に見つかったらどうなるか判断が付き、無線を打たずに見つかりにくい進路を取った。
さらに降り注いだサンゴの破片「死の灰」を放射性に汚染された証拠として瓶に集めて持ち帰ったのだという。
ビナードさんの表現によれば、「人類にとって重要な証拠を命がけで持ち帰った」のだ。
経験と知恵と決断と行動。
好きなはずのベン・シャーンの絵の背景もよく知りもせず、第五福竜丸事件についても表面的で「知ったつもり」になっていた私の頭をガツーンと殴られたような衝撃。
途中まで読んで積読になってたあの本、ちゃんと読もう。
ビナードさんのお話でも触れられていた「原子力の平和利用」について。
第五福竜丸事件とほぼ同時期、皮肉にも東京永田町では、政府が「原子力の平和利用」の予算を組んでいた。
その金額は2億3500万円。
「原子力の平和利用」という未知なる領域にどれだけの予算が適当なのか不明だったため、「ウラン235」の原子記号をあてた金額にしたのだという。
なんというか・・・。絶句。
まだ咀嚼できてないことが多いけれど、とにかくもっと勉強したい。
幸い本を読むことは好きだし、読んでいるけれど、今回のような、人から直接聴く話のパワーは侮れない。
次に読む時の読み方が全然違ってくる。
ビナードさんの著作もさっそく図書館に予約ポチっと。
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